テレビに「水戸黄門」という人気番組がある。天下の副将軍、水戸光圀か家来である助さん、格さんとともに諸国漫遊の旅の先々で、悪人どもを懲らしめるという時代劇である。
この番組の主役はもちろん黄門様。脇役は、黄門様を守る腕っぷしの強い助さんと格さん。そして、庶民をいじめる悪代官がカタキ役といったところだ。
私たちの食生活にも、この"配役”がピタリとあてはまる。
たとえば、糖類(炭水化物)、タンバク質、脂肪は栄養素のなかでもとくに大切で、かつては「三大栄養素」と呼ばれていた。三大栄養素はエネルギーになるし、からだの建築材料にもなるので、さしずめ、栄養素の主役といったところだ。
対して、主役の演技を引き立てる"脇役”を演じるのはビタミンであり、ファイバーである。また、嫌われものだが、なくては困る「カタキ役」はミネラルである。
ビタミンは酵素というタンバク質といっしょになって、糖類・タンパク質…脂肪をからだのなかに取り込ませる働きをする。名脇役であるビタミンのおかげで、三大栄養素は、からだの健康を守る主役を演じきることができるというわけだ。
もう一つの脇役は"ファイバー”である。からだのなかで消化されないものだから、かつて、ファイバーは、何の役にも立たないフジャンク」と思われていた。しかし、いまでは、ファイバーは排便を促し、体内でできた有害物質をすばやく体外に排泄する重要な役割をはたしていることが明らかとなっている。
さらに、コレステロール値を下げるという効果も発見され、貴重な脇役をつとめているのである。ファイバーをジャンクと呼ぶなど、とんでもない誤りであった。
カタキ役の「ミネラル」は、"活性酸素”を分解する役目を担っている。活性酸素というのは、体内で酸素が「興奮」した状態のもので、人類を含めすべての生物にとって猛毒である。この活性酸素を分解し無毒にするのが、SOD(スーバーオキシド・アイスミューターゼ)という酵素なのだが、SODの中心にくっついていて、活性酸素を壊しているのが、銅、亜鉛、マンガンといったミネラルなのである。
しかし、このミネラルは、やっかいな物質で、たくさん摂ればSODがいっそう元気になるかというと、そうではない。ミネラルが大量に体内に入ると、中毒を引き起こす危険性があるのだ。
ミネラルは人が健康に生きるために、ほんの少しだけ必要なものなのである。やはり、カタキ役は少しいればいい。
映画では、脇役やカタキ役の活躍によって主役の演技がイキイキしたものになる。人のからだにも同じことがいえる。からだの栄養素も主役、脇役、カタキ役がうまくバランスを取りながら協力しあって働いてこそ、健康なからだを維持できるのである。