ビタミンEが足りなくなると貧血になる

しかし、ビタミンEの重大さはこれだけではない。種の保存だけでなく、ビタミンEは「抗酸化物質」として体内で有害な物質ができるのを防いでいるのだ。

たとえば、脂肪を食べると消化されて脂肪酸ができるのだが、この脂肪酸はしばしば酸化され、「過酸化脂肪」というからだにとても有害な物質に変身する。どういうふうに有害かというと、過酸化脂肪は老化を促進したり、がんを発生させる犯人とされているのだ。

そこで、ビタミンEの出番がやってくる。ビタミンEは、過酸化脂肪ができるのを防ぐので、老化やがんを食い止めると期待されている。

また、いくつもの実験から、ビタミンEが足りなくなると、細胞が老化しやすくなることが確認されている。とりわけ、赤血球に著しい老化が見られる。

老化した赤血球は、いとも簡単に壊れてしまう。赤血球の大事な仕事は、酸素を体内のすみずみの細胞に運ぶことだが、壊れた赤血球ではそれができなくなる。このため、ビタミンEが不足すれば、細胞が酸欠状態になって貧血に苦しむわけだ。

また、ビタミンEは血栓を防ぎ、心臓マヒを予防する。

だから、ビタミンEを十分に摂収しなければならないのだ。そこで、気になるのは副作用だ。しかし、ビタミンEの副作川はこれまでに報告されていないから、あまり心配することはないと思う。

一目に摂りたいビタミンEの量は、女性では八ミリグラム。一方、男性では10ミリグラムである。これは、アーモンドなら四〇粒、ピーナッツなら二〇〇粒に相当する。

それから、あまりたくさんの不飽和脂肪酸を摂ると、酸化によって過酸化脂肪もたくさんできる。これを分解するには、ビタミンEをより多く摂るべきである。

ところで、皮膚に傷がついたら、傷口にビタミンEをカプセルから取り出して塗れば治るとか、皮膚が元気になる、と主張する人がいるが、これは真実だろうか。

ビタミンEは油である。それを皮膚に塗れば、その表面がカバーされる。すると、水分は皮川から蒸発しにくくなるから、皮膚に湿り気が残ることがわかる。さて、この湿り気を見た人は何と思うだろうか?

「あれ、皮膚が元気になった!」

そんなふうに思うのではないか。こんなことから、ビタミンEが傷口にいいと誤解されたのだろう。

では、どんな食物にビタミンEがたくさん含まれているのだろうか?

その代表的なものをあげると、アーモンド、ピーナッツ、納豆などの豆類、ほうれん草、アボカド、ピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜である。

また、ビタミンEはバター、食用油にも添加されている。このため、ふつうの食生活をしている分にはビタミンEが不足することはないはずである。  

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